港湾・漁港・海岸における調査業務は、自然条件や生態系などの絡みあいにより多様化、複雑化するとともに、施設の維持管理、災害時の対応等新しいニーズも増加してきています。
私たちはこれまでの調査活動で得たノウハウや蓄積したデータを活かしながら、現場の各種の問題の解明に取り組みます。
我が国の水産業は、国内の安定的な水産物供給とともに、輸出増大に向けた生産・流通体制の確保を目指しています。その中で、漁港における高度な衛生管理対策を図る必要があります。また、南海トラフ地震等の切迫する大規模な地震・津波や台風時の高潮等の大規模自然災害に対し、沿岸域の安全を確保するため、港湾・漁港における防災拠点や避難地・避難路の整備等のハード対策や、ハザードマップ策定等のソフト対策、さらには災害発生後の地域の事業の早期回復を図るためのBCP(自行継続計画)の策定が課題となっています。
私たちは、全国の漁業地域で得たノウハウを活かし、検討対象地域の社会特性や産業構造等を踏まえ、関係者の合意形成を図りながら各種計画作りに取り組みます。
港湾・漁港・海岸の施設の適切な配置計画や断面算出のためには、それらの検討条件となる沖波推算や波浪変形計算が精度よく行われる必要があります。また、我が国の沿岸域では大規模地震に伴う津波の襲来や台風時の高潮災害に対するハザードマップの作製やBCP(事業継続計画)の策定等の施策が急務となっており、各事象の外力や浸水域の想定を精度よく行う必要があります。
私たちは、現在の技術水準に対応した各種解析モデルを用い、地域の自然特性や観測データを十分に理解し、適切な解析を行います。
ICT技術(Information and Communication Technology)は、水産物の生産・流通過程の省力化、水域環境モニタリング、港湾・漁港・海岸の施設の維持管理や災害時の点検など様々な課題への活用が期待されています。
私たちは、これまでに蓄えたGISやデータベースのシステム、UAV(無人航空機)を用いた調査等に係る技術を用いて、港湾・漁港施設の管理や、施設情報の集約化・電子化、及び現場業務の効率化に向けた業務を推進します。
我が国の社会資本の多くは、高度経済成長期に建設され、建設後の時間経過に伴って老朽化が進行し、改良・更新が必要な時期を迎えています。効果的かつ効率的に機能を維持していくために、老朽化が進行する施設に対し早期からこまめな補修を繰り返すことによって構造物のライフサイクルコストの削減や長寿命化を図る予防保全の実施が推進されています。そこで、点検診断の実施、機能保全対策の実施、および施設情報の記録・保存のメンテナンスサイクルを着実に回すことが重要となります。
私たちは、港湾施設、水産基盤施設、海岸保全施設にわたる設計・施工・維持管理にかかる専門的知識を有する技術者によって、点検診断における適切な判断、経済性・施工性に配慮した対策工法の検討、データベース機能等を活かした施設の維持管理にかかる計画や記録の効率的な保存・運用に資するための業務を推進してまいります。
港湾、漁港漁場施設及び海岸保全施設の設計では、それぞれの目的の達成や機能の確保のために備わるべき性能を明確にし、的確で合理性の高い照査を行うことが求められています。施設の配置や断面の検討においては、地形、海象、水質、対象生物などの自然条件、設置個所や周辺の地域の経済的・社会的条件、自然・生活環境への影響、工事や維持管理の実施に係る経済性、衛生管理型施設等との一体性などを考慮して、施設の機能と安全性が発揮されるよう配慮する必要があります。
私たちは、これまでの経験や知識を活かすとともに地域の現状と課題を十分に踏まえた設計の実務に取り組みます。